2020年の景気後退(≒不況)は3月と4月のわずか2ヶ月で終わったとするアメリカの公式の見解があったという記事を先日書きました。
2020年コロナ不況、アメリカで最も短かった景気後退に。
アメリカの景気後退(不況)は、新型コロナが世界的な広がりを見せた2020年3月から始まりました。この景気後退がいつ終わったかについてアメリカは発表していませんでしたが、ついに「2020年4月で景気後退が終了していた」と正式に発表がありました。
私の投資人生の中ではリーマンショック以来の2回目の景気後退だったのですが、「この立ち回りはうまくいった」とか「もっとこうすれば良かった」と次につながりそうな発見がいくつもありました。
そこでこの記事では、次の景気後退でも気をつけていきたいこと、次こそは上手くやりたいことを書いていきます。
次の景気後退で実践したいことメモ
- 景気後退のシグナルに警戒する。
- 株価指数で20-30%の大きな下落が見られたら、ひとまず買う。
- 株の下落が落ち着くときに見られる市場のサインを確認する。
- 失業者がピークを過ぎたら、景気後退は終わったと見て本格的にリスクオンに転じる。
この記事を書いている2021年7月時点では、次の景気後退の気配は微塵も感じませんが、次の景気後退に活かせるように書き残しておきます。
景気後退前に危険を察知する
景気後退が始まる前後では、株価が大きく下落する場面があります。
株価が下落するのは多くの投資家にとって嫌なことですが、景気後退が迫っていることが知ることができたら、事前に株の売却をすすめて資産を守り、(理想的には)株価が下がった後で買い増しができるはずです。
問題はどのようにして、景気後退が近いかどうかを知るかです。
今のところ、有効な手段は「逆イールド・カーブ」が発生しているかを見ることだと思います。
逆イールドカーブは、これから景気が悪くなると察知した投資家が安全資産の長期国債を多く買うようになった結果、長期国債の利回りが短期国債よりも小さくなる、めったに起こらない現象のことです。
【解説】12年ぶり発生した景気後退シグナル、逆イールドとは何か。
2019年3月22日、3ヶ月米国債金利が10年国債利回りを上回る現象が起きました。この現象は「逆イールド」とも呼ばれるのですが、このめったに起きない現象がなぜ景気後退のシグナルと呼ばれるのか、この現象が起こった場合に何が起こるのかをこのページでまとめておきます。
実は過去の景気後退の数ヶ月前から1-2年前には、「逆イールドカーブ」と呼ばれる現象が毎回のように発生しているのですが、2020年の多くの人が予期しなかったパンデミックの前でもこの現象が見られていました。
逆イールド発生時期 | 株価のピーク時期 | 景気後退時期 |
---|---|---|
1989年5月 | 1990年6月(13ヶ月後) | 1990年7月(14ヶ月後) |
1998年9月 | 2000年8月(23ヶ月後) | 2001年3月(30ヶ月後) |
2006年2月 | 2007年10月(20ヶ月後) | 2007年12月(22ヶ月後) |
2019年3月 | 2020年2月(11ヶ月後) | 2020年3月(12ヶ月後) |
この逆イールド・カーブが起こったら、長期投資家なら少しずつ守りを固めるのが良いかも知れません。
私の場合も2019年8月から株の保有比率を減らし始めましたが、実際にやってみると株の下落が始まる2020年3月までの半年間は想像よりもずっと長かったです。
「まわりの投資家は株価の上昇で大きく儲けていて、景気後退はまだ始まりそうにない。このまま株の儲けを取りそこねたままなのか」とほぼ毎週のように考えていましたが、後から考えれば焦る必要は全くありませんでした。こういうときは、気長に待てば良いと思います。
株価の下落が始まったら
景気後退かなと思うような大きな株価の下落が始まったときに、やるべきことは1つです。
大きく売られている株を買いに行く、それだけです。
これだけシンプルなのになかなか実行できない理由はいくつかありますが、一番大きいのはいつになったら株を買いに行って良いのか攻めに転じるタイミングがわからないことです。
攻めに転じるタイミングとしては、次の3つを選択肢として考えておくと良いかも知れません。
- (1)株価指数で20-30%の大きな下落が見られたら、ひとまず買う。
- (2)株の下落が落ち着くときに見られる市場のサインを確認する。
- (3)失業者がピークを過ぎたら、景気後退は終わったと見て本格的にリスクオンに転じる。
株価指数で20-30%の大きな下落が見られたら
1つ目はシンプルで、S&P500やダウなどの株価指数が20-30%下げることは滅多にないので、とりあえずその規模の下落があったら買うというものです。このときは、投資資金の一部だけに留めると良いかも知れません。
この買い方は「せっかくの株価の下落があったのに、買うタイミングを逃してしまった」という失敗を防ぐためのものです。
株の下落が落ち着くときに見られる市場のサインが現れたら
2つ目の買い方は、株価の急落が落ち着く前に見られるサインに注目するやり方です。リーマンショック時でも、コロナ不況時でも、株価の下落が収まる前に「上昇していた社債スプレッドが下落に転じ」、「上昇していた恐怖指数VIXも下落に転じて」、「急落を続けた長期国債の利回りが上昇に転じる」という共通した動きがありました。
このタイミングで、さらに投資資金の一部を使って、安くなった株を買い増しするのも良いと思います。(ただし、リーマンショック時の不況ではこのサインの後に、さらに30%ほど株価が下落してるので、このタイミングで全力で株を買うのはあまりおすすめしません。)
コロナ不況時にこの3つのデータが改善している様子を観察している以下の記事がありますので、具体的な確認の仕方を知りたい場合は、こちらもご覧ください。
底打ちのシグナルが出始めた米国株。それでもさらなる下げの恐れ。
この記事ではリーマンショック時に株に先行して底打ちしたいくつかの指標を使って、現時点でどこまで株価が底に近づいているかを調べてみました。一部では底打ちのシグナルが出ているものの、シグナル発生後にさらに株価の下落した過去のデータもあるので、もうしばらくは警戒が解けない状況が続きそうです。
失業者がピークを過ぎたら
最後の3つ目は、景気後退の時期が終わったと判断できたら株を買う方法です。
以下の記事の後半にも書きましたが、失業者の増加がピークを超えたら景気後退は終わりに近づいているサインですので、投資は大きく守りから攻めに転じて、大きく株にシフトしても良いと思っています。
2020年コロナ不況、アメリカで最も短かった景気後退に。
アメリカの景気後退(不況)は、新型コロナが世界的な広がりを見せた2020年3月から始まりました。この景気後退がいつ終わったかについてアメリカは発表していませんでしたが、ついに「2020年4月で景気後退が終了していた」と正式に発表がありました。