【考察】Netflixのゲーム業界参入は悪手と考える理由。Googleのプラットフォーム戦略に見習うべき視点。

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Netflixがゲーム業界に進出

動画配信サービスで最大手のNetflixは、ゲームのイベントE3に初参加し、オリジナル番組を題材にしたゲームを作成して、ゲーム業界に進出することを発表しました。

しかし、私はNetflixにとってこれが良い一手になるとは思えません。私はNetflixの株も持っていますし、この会社は今後も頑張ってくれるもんだと思っていますが、ゲーム参入はNetflixらしくない悪手だな思いながら見ています。

理由はシンプルで、自らの動画配信プラットフォームの影響力を弱める恐れがあるからです。

Netflixが重要視するスクリーン時間

近年のNetflixは動画プラットフォームにアクセスする権利を、ユーザが毎月買うという仕組みで巨額の売上を上げていました。

しかし、月額定額制で見放題の動画サービスなので見るものがなくなって飽きられると解約される恐れがあります。なので、Netflixは大量のコンテンツを作って飽きさせないとともに、ユーザが毎日どれだけの時間をNetflixに費やしているかを計測して、飽きていないかを絶えずチェックしています

NetflixにとってユーザがNetflixを見るスクリーン時間は大事な数字で、スクリーン時間を奪うライバルは同じ動画ストリーミングサービスでなくても、世界的な大流行したゲームのフォートナイトであってもライバルとみなしていました。

参考記事:Netflixのスクリーンを巡る戦い。スクリーンの外に飛び出し始めたGoogleとAmazon

Netflixにとって、お金を落としてくれる動画配信プラットフォームのスクリーン時間は、それほど重要な数字でした。

動画配信プラットフォームの時間を自ら奪うゲーム

そうしてNetflixがたくさんのユーザに受け入れられていくと、オリジナルコンテンツのヒット作もそのファンも出てくるようになりました。

ディズニーが映画でヒットしたらおもちゃにしたり、「ディズニーツムツム」などのゲームを作ったりするように、ファンがついた作品でゲームを出してキャラクター出演料で儲けようとするのも自然な流れだと思います。

しかし、そのNetflixオリジナルのキャラクターが出てくるゲームは動画配信プラットフォームの最重要項目だったはずのスクリーン時間を奪う方向に働きます。Netflixが今作っているゲームは、Netflixの動画配信プラットフォーム上にあるのではなく、Playstation4, Xbox, PC、スマホで遊ぶものだからです。

実際にはNetflixのゲームで遊ぶユーザーの時間はそんなに多くは無いかも知れません。影響は微小でしょう。でも、だとしたらなおさら、もともとNetflixの作品を毎日のように動画プラットフォームを見ていた熱心なファンを、動画プラットフォームから遠ざけるようなゲームを作るべきではないと思います。

ゲーム製作に費やす時間とお金で、続編や番外編をつくったほうがよっぽど動画配信プラットフォームの強みを大きくできる気がします。

ニュースを読み解く上での注意

今回気になったのは、Netflixのゲーム参入のニュースを調べている時に、多くの日本のニュースサイトが「Apple社のアップルアーケード、Google社のStadia発表に続き、Netflixまでゲーム業界に参入」という記事を書いていますが、これはちょっと違うと思いました。

Netflixが作っているのはゲームソフトで、AppleやGoogleが作っているのはNetflixのようなゲームソフト会社が作成したゲームを遊ぶためのゲームプラットフォームです。なので、作っているものがもの、狙っているものがそもそも違います。

ちなみに、このプラットフォームは2019年かなりの変革が起こっており、今までDVDのような円盤型のゲームソフトをおもちゃ売り場で買うか、長時間かけてダウンロードしないと遊べなかったものが、ボタン一つでダウンロードの待ち時間なくプレイできるゲームストリーミングサービスがMicrosoftとGoogleから提供されます。

参考記事:Google、ゲーム・サブスクリプション予約受付開始。ゲーム業界のゲームチェンジャーになれるか。

参考記事:MicrosoftのゲームストリーミングがGoogleに劣ると考える2つの理由。

Googleはゲームでスクリーンタイムを伸ばす一手を投じる

このGoogleの手をうち方は、Netflixにも是非見習ってほしいのですが、GoogleのストリーミングサービスStadiaは動画配信プラットフォームのYoutubeから、ボタン一つでゲームがプレイできるようになる予定です。これはNetflixとは正反対に、動画配信サービスのスクリーンタイムを大幅に伸ばす「神の一手」です。

他人がゲームをプレイする様子を写したYoutube動画を見る視聴者は世界的に急増していますが、他の人が遊んでいて「面白そうだな、やってみたいな」と思ったら、画面上のボタンをクリックするだけで同じゲームで遊ぶことができるようになります。

このゲームの遊び方であれば、Youtubeのスクリーンタイムは下がるどころか、むしろ急激に上がります。何をしたら自社のプラットフォームがより強くなるかを考えた上で、Googleなりに出た結論がYoutube上にゲーム機能を搭載させることだったのでしょう。

「次の一手とは、このように打つんですよ」という見本のような打ち筋ですね。このゲームストリーミングサービスStadiaが流行るかどうかはまだリリースされるまで分かりませんが、狙いは実に鮮やかで、ユーザのネット上の挙動を熟知したGoogleならではの熟練さを感じます。


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