ネットフリックスの決算発表がありました。7-9月期の業績はいくつかの数字で予想を超えたこともあって、株価は決算発表後に大きく上昇しました。
ただし、業績は良いとは言えないと思います。まだ苦戦が続いていて、予想ほど悪くなかったという表現があう決算でした。
かつて大きな成長率を残していた頃のイメージは今のネットフリックスにはなく、今急いで投資をしなくても良い銘柄に見えます。
この記事のポイント
- 7-9月期は売上も一株利益も予想を超えた。ただし、売上は前年比+6%でかつて成長銘柄のイメージはまだない。
- また、10-12月期も不調は続く見通しで、売上前年比はついに+1%まで下がると見られている。
- 最悪期はまだ訪れていないなら、まだネットフリックス株は買わなくて良い。
予想を超えたネットフリックスの決算
さっそく7-9月期のネットフリックスの業績を確認していきますが、一株利益も売上もともに予想を超えていました。
- 一株利益:$3.10(予想$2.13)
- 売上:$7.93B(予想$7.84B)
ただ、今回はもともとアナリストの事前予想がかなり低かったことも背景にあります。それは成長率を確認してみるとわかります。
次のグラフは売上と成長率の変化を表したものですが、2020年から下がり続けて売上成長率は今期はわずかに前年比+6%にとどまっています。
ネットフリックスの売上の+6%という数字は、先日決算を発表したペプシコよりも低いです。今のネットフリックスは、かつて成長銘柄と呼ばれていた頃の輝きがないように見えます。
インフレで賃金を含めて様々な価格が上がっている中で売上の成長が鈍ければ、利益の伸びは期待できません、営業利益は前年比マイナス13%で元気の状態が続いています。
今までのネットフリックスからするとまだ本調子には程遠いのですが、それでも予想していたほど業績が悪くなかったので、株は大きく買われています。
予想超えの原動力は予想以上の加入者数の増加
今回の決算では売上も一株利益も予想を超えましたが、その原動力になったのは会員数の伸びです。
もともと前回の決算発表での見通しでは7-9月期で会員数の純増数は100万人増加を見込んでいて、アナリストもその程度の伸びだと予想していたのですが、フタを明けてみると予想の2倍超えの241万人の増加を達成しています。
- 予想:109万人
- 結果:241万人
上のグラフを見る通り、会員数の伸びも売上同様に鈍化しているのは確かですが、こちらも予想よりもずっと良かったことがわかった7-9月期となりました。
ネットフリックスはまだ不調の中
「ネットフリックスの業績は悪い中でも予想を大きく超えてきた。株は決算発表後に大きく上がった。だから、もう株を買うタイミングが来ているのではないか」と考えることもできますが、私はまだネットフリックスは買わなくていいと思っています。
理由は単純で、まだネットフリックスが発表した数字が「まだ復調していない」と語っているからです。
今回の決算では2022年10-12月期の売上見通しも発表されているのですが、ネットフリックスの見通しでは売上成長率がついに前年比+1%にまで低下するようです。
既に10月も後半になろうとしている段階で、このような弱い売上見通しを出してくることを考えると、まだネットフリックスは不調が続いていると見て間違いなさそうです。
ネットフリックスは面白い銘柄だと思いますが、今は大きな不調の中にいること、その不調がまだ続きそうなこと、さらにアメリカでは2023年頃に景気後退が迫っていることを考えると、株を買うタイミングは今ではないと思っています。