昨日はテスラの決算が不調だったことを伝えましたが、同じ日に決算発表を終えたネットフリックスは対照的に好決算でした。
ここでは2023年7-9月期のネットフリックスの決算について見ていきます。
この記事のポイント
- ネットフリックスは予想を超える業績。2022年で成長鈍化は終わり、2023年から成長が加速している模様。
- 今期は広告付きの安い動画視聴プランでユーザを獲得した模様。このプランの会員数は前期比で+70%。
- 値上げを発表したことも投資家に好感されて、決算発表後に株価は大きく買われた。
好調だったネットフリックス
今回のネットフリックスの決算は投資家に好感される材料が多かったと思います。具体的には次のようなものです。
- 予想を上回る業績と成長加速
- 安い広告付きプランの成功と契約者数の増加
- 値上げの発表
まず7-9月期の業績を見てみると、売上は予想通りの成長を遂げ、一株利益はアナリスト予想をしっかりと超えてきました。
- 一株利益:$3.73(予想$3.49)
- 売上:$8.54B(予想$8.54B)
この売上と利益の増加を支えたのは、契約者数の増加だと思います。
次のグラフはネットフリックスの契約者数の増加を示したものですが、去年まで低調だった契約者数の伸びが今年になってから調子を上げている様子がわかります。
特に最新の7-9月期の伸びは順調で、前年比で二桁を超える成長が見られています。また、今回は会員数のアナリスト予想もしっかりと超えていたようです。
- 会員数:2億4715万人(予想:2億4388万人)
ユーザ数が伸びている背景として、比較的最近になってから始めた広告付きの安いプランで加入者数を伸ばすことができているようです。広告付きの動画プランの契約数は前四半期から70%増えたと言います。
もちろん、高い料金プランから乗り換えているユーザもいるはずなので安いプランの高成長は単純に良いとはいえませんが、下のグラフに示すように全体的に売上も利益も成長率が改善されているので、今のところ良い流れができているように見えます。
値上げの発表
会員数の増加と業績に加えて、投資家に歓迎されたのは値上げの発表でした。
例えば、アメリカでは会員数を伸ばしている広告付きモデルの価格を月額6.99ドルのままに据え置き、基本プランを9.99ドルから11.99ドルに、プレミアムプランを19.99ドルから22.99ドルに引き上げています。
基本プランで20%、プレミアムプランで15%の値上げなので、結構の売上増加が期待できそうです。
この発表もあって、ネットフリックスは決算発表後に大きく株価を上げました。
さいごに
今回のネットフリックスの決算は復調のきっかけが見える良い内容だったと思います。
2023年の米国株は大手ハイテク企業が株価を引っ張ってきましたが、同じ日に発表があったテスラの決算とは大きく異なるようです。
テスラの場合は売っている商品の単価が高くローンを組むものなので、2023年の金利上昇の影響を大きく受けているようでした。結果的にテスラは値下げを余儀なくされています。
>>自動車ローン金利上昇の影響を受けるテスラ【23年7-9月期決算】
一方で、ネットフリックスのサービスは単価は大きくなくまだ値上げの余地もあるようです。景気が悪くなって消費者に余力がなくなれば、いずれネットフリックスもユーザに解約される時期が来るのかもしれませんが、今のところはまだその兆候はなさそうです。
来週からは大手ハイテクが続々と決算を発表します。車や住宅などのローンを組むようなものでなければ7-9月期のアメリカの消費は好調だったと聞いているので、この分なら大手ハイテクの決算もそれほど悪くない気がします。
ブルームバーグによればアップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディアの5社は7-9月期に前年比34%の利益成長が見込まれるなどハードルが高くなっていますが、高いハードルも恐らく超えるのではないかという気はしています。
不安材料があるとすれば、業績の見通しが明るいかどうか、特に期待が高いエヌビディアは予想を超えられるかという点になると思われます。