「アメリカ株が順調すぎて、いつか大きな下落しそう。」
「でも、株を売って現金にしたら、せっかくの株価上昇を逃してしまう」
そんな人に向けて、レイ・ダリオが個人投資家向けに推奨していて、実際に私も取り入れている「オールシーズンズポートフォリオ」を紹介します。
この記事のポイント
- オールシーズンズ戦略はレイダリオが個人投資家向けに考えたポートフォリオ。
- 好況・不況・インフレ・デフレどんな時でも、安定したリターンが得られる。
- 株に100%投資する場合に比べるとリターンは低いが、株価下落に強い。
- オールシーズンズが真価を発揮するのは景気拡大期の後半から不況時にかけて。景気拡大後半にそこそこのリターンを得ながら、不況時の株価下落から資産を守れる。
- 景気拡大後半に差しかかっている2020年以降のアメリカ市場では検討の価値があるポートフォリオ。
オールシーズンズ戦略の使い時
オールシーズンズ戦略は有名で検索すればたくさんサイトがヒットするので、既に知っている人も多いと思います。
ただ、他のサイトには触れていない大きなポイントが「オールシーズンズ・ポートフォリオを取り入れるタイミング」です。
今まで株だけに投資していた人でも、「アメリカの景気もそろそろ終盤かな」と考えているなら、そこそこのリターンを上げながら株の下落時に強いオールシーズンズ戦略は、検討の余地があると思います。
投資のプロ、レイダリオが推奨したポートフォリオ
レイダリオは世界的な有名なヘッジファンドのブリッジウォーター社を創業して運用している投資のプロです。リーマンショックを予知して損失を防いだりと、経済を読み解く力に定評があります。
>>リーマンショックを回避した投資家レイ・ダリオとは誰か【私達は彼から何を学べるか】
そのレイダリオが、アンソニー・ロビンズ著の「世界のエリート投資家は何を考えているのか、何を見て動くのか」の中で、個人投資家向けに考えたポートフォリオがオールシーズンズ・ポートフォリオです。
どんな局面でもリターンを上げるオールシーズンズ戦略
このオールシーズンズ・ポートフォリオですが、最大の特長は景気が良い時も、悪い時でもそこそこのリターンを上げるように作られています。
どんな局面でもリターン出せるようにしているカラクリは、保有する資産とその保有割合にあります。
好況時に上昇する「株」、デフレ不況時にリターンを上げる「国債」、インフレ不況時に上昇する「金・商品」を組み合わせることで、あらゆる局面で何かしらのリターンを得られるようにしています。
そして1年に1回程度、ポートフォリオを決められた比率に戻すことで、値上がった資産の利益を確定しつつ、売られすぎた資産を買いに行きます。
株の保有率が30%しかない理由
株の保有比率をみて、「30%って結構少ないな」と思ったかも知れません。
ただし、これにも理由があります。
株は変動が大きいので、不況時に株の下落にポートフォリオのリターンが引っ張られないようにするために、この保有率になっています。
※株・国債・金・商品の価格変動を均一にするように資産の保有率を決める、リスク・パリティという考え方を使っています。
抜群の安定感を誇るオールシーズンズのリターン
オールシーズンズ戦略の特長は、なんと言っても安定したリターンです。
2007年から2019年11月までのオールシーズンズ戦略と米国株S&P500のリターンを比べてみます。
最も成績が悪かった年(ワーストイヤー)のリターンを比較するとの成績はS&P500が37%下落している一方で、オールシーズンズではわずか3%でした。
最高値からの最大下落率も、S&P500はリーマンショック時に50%下落していますが、同じタイミングでオールシーズンズは12%だけの下落で済んでいます。
リターン | オールシーズンズ | S&P500 |
---|---|---|
年平均リターン | 7.5% | 8.5% |
ベストイヤー | 18.1% | 32.2% |
ワーストイヤー | -3.3% | -37.0% |
最大下落率 | -12.0%(2009年2月) | -51.0%(2009年2月) |
ただし、リターンを比較すると米国株(S&P500)100%投資したほうが、優れているようです。
メリット・デメリット
オールシーズンズポートフォリオのメリットとデメリットをまとめます。
- 株100%の運用に比べると、オールシーズンズ戦略のリターンは小さい。
- 一方で、株が下落する局面ではオールシーズンズは安定したリターンを誇る。
オールシーズンズ戦略は景気終盤から不況時におすすめ
「結局、米国株のほうがリターンがいいんでしょ。どれだけ下落しても株を保有すればいい」と思った人は、このオールシーズンズ戦略のことは忘れてOKです。
でも、「米国株も上がりすぎな気がするし、そろそろまとまった下落があるかも」と心配している人は、2020年以降にオールシーズンズ戦略を検討する価値があると思います。
すでに見てきたように、オールシーズンズ戦略は下落に強いポートフォリオです。いつ大きな株価の下落がおきてもおかしくない景気の後半から不況時にかけて、このポートフォリオは真価を発揮します。
景気拡大期の後半の特徴は「株の乱高下が激しいわりに、株のリターンが大きくない」、「逆イールド現象が起こる」、「中央銀行が利下げを開始する」などがありますが、2019年にはこれら全てが既に起こっています。
なので実際に、私は既に2019年8月からオールシーズンズ戦略を参考したポートフォリオに変更しています。
【投資方針】次の不況を耐える新ポートフォリオを考えました
今まで私は米国株のみ100%保有し、売却をしない方針で投資をしてきましたが、2019年は次の景気後退に備えて、大きく投資方針を変えています。この新たな投資方針にそって、具体的にどんな銘柄や資産をどの割合で保有するかのポートフォリオを考えたので、一度ここで公開したいと思います。
※この記事を書いた後、2020年3月に私はオールシーズンズ戦略は解除しました。
アメリカが景気後退が2020年に訪れるのか、2025年まで来ないのかわかりませんが、既にオールシーズンズ戦略の下落耐性が活きる時代に入りつつある気がします。