景気後退の話ばかりで申し訳ないのですが、2023年の私はとにかくアメリカのリセッションが来て過ぎ去ってくれることを待っています。
暇さえあれば、リセッションがどれだけ近づいているかを調べるためにデータを眺めているのですが、最近の銀行の貸出し状況のデータからは新たなリセッションの兆候が出始めた気がしています。
この記事のポイント
- アメリカの銀行の貸出態度は2022年から急速に厳しくなり、過去のリセッションの水準にまで達している。
- リセッションが来る前にはアメリカの銀行の貸出額が減る動きが見られるが、既にその兆候が見られている。
銀行の貸出態度は過去のリセッションなみに厳しい状況
2022年からアメリカで急速に金融引き締めがはじまって、銀行も企業への貸出しを急速に厳しくしているようです。
次のグラフは銀行から大企業や中規模企業への貸出しの厳しさを表したものですが、2022年から急速に右肩上がりに貸出しが厳しくなっている様子がわかります。
上のグラフを見ると、既に2023年第2四半期時点で、過去のリセッション(上グラフでグレーの期間)と同じくらいに銀行から資金を借りるのが難しくなっていることがわかります。
銀行の貸出し額は伸びが急速に鈍化
もう一つだけ興味深いデータがありました。
次のグラフはアメリカの銀行が企業などへ貸出している額の前年比成長率を表したものです。これを見ると、過去のリセッション(下グラフでグレーの期間)の直前に、銀行貸出額の成長率が急速に低下する傾向が見られます。
そして、さらに上のグラフで2023年の様子を見てみると、既に貸出額の成長は低下を始めたように見えます。
このことからも、アメリカのリセッションはそれほど遠くない未来に起こっても不思議ではないだろうと言えます。
まとめ
この記事では、アメリカの銀行の貸出状況からもリセッションの兆候が見られたという話をしました。
このようなリセッションは少しずつではありますが、増えてきた印象はあります。
- (1)景気先行指数:カンファレンスボード発表では既に12ヶ月連続でマイナス。
- (2)企業の景況感:ISM発表では製造業は既に景気悪化。(※サービス業はまだ景気拡大)。
- (3)銀行の貸出:過去のリセッションなみに厳しい
ただし、企業は銀行からお金を借りにくくなっているはずなのですが、それでも雇用はまだまだ強い状況が続いています。やはり鍵は雇用で、失業者がこれからどれだけのペースで増加するかが、どれだけ早くアメリカがリセッションになるかにつながると思います。