世の中は、アメリカ企業の7-9月期の決算期がはじまって個別企業への関心が高まっています。
これからこのブログでも決算の内容に触れていく機会が増えると思いますが、その前に7-9月期のアメリカの消費について書いておきたいと思います。
ただ、今の時点で9月のアメリカの個人消費はまだ発表されていないので、先に発表された小売売上高を確認していきます。
小売売上を見る限り、7-9月期の個人消費は低成長に留まっているようです。
この記事のポイント
- 9月の小売売上高は予想を下回って前月比で横ばいとなった。インフレを除いた実質ではマイナス成長になっている。
- 7-9月期でアメリカでは物価の上昇を続けて商品の値段は上がっているはずだが、売上は伸び悩んでいる。
- 消費者が高くなる値段についていけなくなり、消費の伸びが悪くなっている恐れがある。
低成長化するアメリカの消費
早速、つい先日発表された9月のアメリカの小売売上のデータを見ていきます。
9月はもともと大きな成長を予想していたわけではないのですが、結果はその予想を下回って前月比横ばいにとどまっています。
- 結果:前月比0.0%(予想0.2%)
- 前回:前月比+0.3%から+0.4%に上昇修正
次のグラフでアメリカの小売売上高の前月からの成長率を確認してみると、2022年が深まるにつれて小売売上の成長が鈍化している様子が見られます。
ちなみに、このデータはインフレの影響を入れた名目での成績です。インフレの影響を除いた実質成長率では以下のようにマイナス成長の幅が大きくなっています。
値上げしてもモノが売れなくなってきたアメリカ
今回の発表で7-9月分のデータが出揃ったので、2022年7-9月期小売売上高(名目)の成長率も出してみました。
7-9月期(22年3Q)はマイナス0.0%でほぼ横ばいながら、わずかなマイナス成長に陥っていることがわかりました。
少し思い出してみると今年2022年の1-3月期や4-6月期は実質GDPこそマイナス成長率で景気が悪かったのですが、上のグラフを見るとわかるようにこの時期の(名目)小売売上はしっかりとしたプラス成長でした。
そのためアメリカは景気が悪いにも関わらず、企業の業績はインフレで値上がりした分だけ(名目の)売上金額が伸びていたので好決算も見られたり、売上成長率もしっかりとしていました。
ところが、この流れが最近になって変わりつつあるのを感じます。
相変わらずアメリカでは強いインフレで、商品の値札にかかれている数字は上昇を続けているはずなのですが、7-9月で売上は伸びなくなってきています。
7-9月期のペプシコの決算でも見られた現象なのですが、アメリカでは消費者が少しずつ高い値段についていけなくなり、モノが売れなくなってきているのではないかと思われます。
FRBの金融引き締めで景気を冷やしている間、アメリカでの消費低下が進んでしまうことはあっても、急に反転して消費が旺盛になることは考えにくいです。
このような動きは小売企業だけでなくアメリカ企業に幅広く伝わるはずなので、アメリカ全体の企業利益もこれから数四半期は苦戦が続いていくはずです。
今はまだ企業の一株利益予想が一時期から3%しか低下していませんが、これからまだこの数字は下がって株価に悪い影響を出すことになる恐れは十分あると思っています。