アメリカの好景気は2023年まで続くと、JPモルガン・チェースCEOが考える理由

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FRBなどの経済成長率の予想を見ていると、アメリカは2021年に+6%台を超える経済成長を見せて37年ぶりの好景気になると言います。

しかし、私も株を持っているJPモルガン・チェース銀行のジェイミーダイモンCEOは少し違う持論を展開しています。アメリカの好景気は2023年まで続く可能性があると言います。

>>米、23年まで好景気継続も 株式相場は妥当=JPモルガンCEO(ロイター)

好景気が数年続くなら、もっと積極的に株に投資をして良いはずと考えたり、今後数年の投資の仕方が変わってしまいます。

どんな動きに注目したらアメリカの好景気は2023年まで続くと言えるのか、気になったので原文を読んで調べてみました。

>>原文:株主への手紙(JPモルガン・チェース)

この記事のポイント

  • 多くの専門家がアメリカの回復は2021年でピークをつけると見ているなか、ジェイミー・ダイモンCEOは好景気は2023年まで容易に続きうると予想。
  • 2008年の金融危機後にも金融緩和や景気刺激策を打ち出したが、緩やかな成長率と2%程度のインフレ率にとどまった要因に触れ、今回には当てはまらないと説明。

ジェイミー・ダイモンCEOの考えでは、「FRBが大規模に債権を買い支えている金融政策(量的緩和)」と「アメリカ政府の景気刺激策」の2つが、他の人が思っている以上に景気回復に大きく力を発揮すると考えているようです。

その仕組を理解するためには、この2つが景気にどう影響するのかを知る必要があるので、まずこれらがどんな効果を持つのかを触れていきます。

量的緩和と景気刺激策の効果


政府が行う景気刺激策(財政支出)の効果はシンプルで、基本的に消費とインフレの増加を起こします。

財政支出の効果

  • 消費とインフレは増加

例外は不況の時です。

2008年の金融危機では景気刺激策を打ち出しても、多くの消費者は住宅ローンの返済にお金を使っていました。実体経済に資金が回らなかった結果、2010年代のアメリカは長らく低インフレ率に悩まされました。

次に量的緩和の効果ですが、こちらは少し複雑です。

量的緩和の効果

  • 1.国債が買われて金利が下がり、株価も上昇する【国債高&株高】
  • 2.投資で儲かった個人投資家が、消費を増やす【消費増、インフレ率上昇】
  • 3.低金利で預金の利子が減った貯蓄家は、貯蓄を増やすため消費を抑える。【消費減、インフレ率低下】
  • 4.国債を売って現金を手に入れた銀行が、貸し出しを増やす【消費増、インフレ率上昇】

国債と株の価格については簡単で、量的緩和をすると上昇しやすくなります(上記1)。

一方、複雑なのは消費とインフレ率についてです。量的緩和には、消費やインフレ率を上げる力も下げる力も両方働きます。

たとえば、個人投資家は株で儲かった分で消費を増やそうとするので、消費とインフレ率は上がります(上記2)。しかし、貯蓄家にとっては低金利で銀行の利子が減るので、節約して貯金を増やそうとして消費が鈍り、デフレが進みます(上記3)。

また、量的緩和では中央銀行は主に銀行から債権を買い取るので、銀行は多くの現金を手にします。

現金が増えれば銀行の貸出能力が増えるので、消費は増えてインフレ率は上昇するはずです。

2010年代が低成長・低インフレだった理由

量的緩和には部分的に消費減やインフレ率低下をまねく効果はあるものの、量的緩和と財政支出は消費を増やして、インフレ率を引き上げる多くの効果があります。

しかし、2010年代は量的緩和も景気対策(財政支出)も両方行われたのに、低成長・低インフレに悩みました。

ダイモンCEOによれば、次のような低迷理由があるようです。

  • 財政支出を増やして世の中にお金を流しても、住宅ローンの返済に使われて、実体経済にお金が回らなかった。
  • 金融危機を再び起こさないようにするために作った銀行の貸出の規制のせいで、貸出を通じて経済に資金をうまく供給できなかった。

ジェイミー・ダイモンCEOが注目しているのは銀行の貸し出しについてです。

2008年までの銀行は預金とほぼ同じ額を貸し出していたのに、金融危機後は規制により貸出に大きな制限がかかったようです。2019年時には本来貸し出せた金額は300兆ドルを超え、その分低成長・低インフレに悩んだと言います。

こうした背景から、2010年代のアメリカは量的緩和も財政支出も大規模に実施したのに、インフレ率は1970年代に遠く及ませんでした。

ジェイミー・ダイモンCEOが2023年まで好景気が続くと考える理由


ジェイミー・ダイモンCEOは、次の点で今は2010年代の頃とは違うと言います。

2010年代に量的緩和と財政支出の効果を打ち消していた要因は取り除かれ、しかも景気を押し上げるための政策の規模はずっと今回のほうが大きいことが、景気を押し上げるようです。

2010年代との違い

  • 今の消費者は住宅ローンなどの債務の規模が小さく、財政支出のお金が消費に回りやすい。
  • 銀行の規制は既に導入されているので、規制による貸出の伸び悩みの影響は導入時に比べて小さい。
  • 現時点のアメリカの量的緩和と財政支出は、2010年代のものよりもずっと規模が大きい上に、世界中の国でも同様のことが行われている。

これらに加えて、コロナ流行中に消費せずに積み上がった貯蓄、景気刺激策、バイデン大統領が進めているインフラ法案による支出、ワクチン接種の成功、コロナの収束後の高揚感などを考えれば、「好景気は容易に2023年末で続く」と言います。

ウイルスの変異株が流行してしまうことと、FRBによる政策金利の利上げの前倒しされるような高いインフレ率には注意が必要と言いますが、基本的にはかなり強気な姿勢です。

2023年まで好景気が続くなら株は割高ではないともコメントしているので、ジェイミー・ダイモンCEOのシナリオを信じるなら、まだしばらく株への投資を継続したほうが良いのかも知れません。

このブログでは「そろそろどのタイミングで株の保有比率を下げていくか、考えていきたいと思います。」と昨日の記事で書いたばかりなのですが、ダイモンCEOからまっとうに見える反対意見が出てきたので、もうしばらく悩みたいと思います。


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