確かに解消されたはずなのですが
「うむ。。これは一体どうしたものでしょうか。」
ついつい冒頭から、何かの占いを外して気まずそうに水晶玉を覗く占い師のような発言をしてしまいましたが、さしずめその占い師と今のわたしの心境はとても近いかも知れません。
あまり大きな声では言いたくないのですが、ひょっとして、ひょっとすると、またまた目測を誤った恐れがあるからです。不況の前触れと言われている逆イールド現象についての話です。
逆イールド現象とは(10年国債利回り)-(3ヶ月国債利回り)の引き算の結果がマイナスになる珍しい現象で、過去30年でこれが発生して解消された後には、確実に1年以内に景気後退が訪れています。2007年、かの有名なサブプライムローン問題のときにも発生した現象です。
それが2019年7月にはついにマイナスからプラスに値がもどりました。そして、「逆イールド現象は解消されました。あと1年以内に景気後退が来ます」と高らかに宣言した記事も書いています。
こちらの記事です:
米経済、1年以内に景気後退へ。逆イールド現象がついに解消。
たしかに、この日は解消されたはずなのですが。そう、この1日だけは。
しかし、どうもその記事のあとの様子がおかしいのです。2019年7月にその記事を書いたときには確かにこの日は、(10年国債利回り)-(3ヶ月国債利回り)はプラスに転じていたのです。そう、たった1日だけは。
しかし、その後は再度、マイナス幅を広げ始めいます。
今現在の逆イールド現象はこちらです。
…これ、また外してしまいましたね。
今さら認めたくないですが、7月の逆イールド現象の解消はほんの1日の一時的なもので、まだ解消していないですね。
逆イールド現象解消が定着しなかった背景
この逆イールド現象ですが、確かに7月のアメリカ金融政策決定会合のFOMCの前には、金利の利下げムードが高まって、逆イールド現象解消が1日だけされたのです。
政策金利の利下げは短期国債金利の低下に強く影響を与えるので、逆イールド現象のマイナス幅も小さくなってプラスに近づくためです。
でも、この後にFOMCで利下げこそしたものの、パウエル議長が今後の利下げ継続を示唆しなかったため、利下げムードがやや期待はずれに終わって、逆イールド現象が再びマイナス幅を広げ始めました。
加えて、その翌日からトランプ大統領が、中国に追加関税をかける発言をして、米中関係の悪化から、長期国債が買われて(長期金利の利回りは下がって)ますますのマイナス幅拡大に繋がりました。
「逆イールド解消。。しませんでした」は2度目の展開
この展開、2度目なんですよね。
6月24日にもうじき逆イールド現象が解消されつつあるという記事を書きました。しかし、その直後に、逆イールドが急速にマイナス幅を広げて、解消には至りませんでした。
7月24日には、逆イールド現象が解消されたことを記事にして、あと1年で景気後退が訪れると高らかに宣言していました。しかし、解消されたのは1日だけで、その後は米中の貿易戦争の激化もあって、またしてもマイナス幅を広げる展開が続きました。
奇しくも2ヶ月連続で24日に、似たような記事を書いてしまいました。不覚です。
しかし、「逆イールド現象が解消されて、FRBが金利引下げを開始したら株を売却を開始する」という投資行動の指針としては、逆イールド現象は既に十分立派な役目を果たした気がします。この指針を事前に決められていたからこそ、8月は初日から何の迷いもためらいもなく、株の売却をスタートできました。
何も行動の指針がなかったとしたら、2019年前半から無計画に次々と株の売却をしていたかも知れません。
逆イールド現象という景気後退を予言する水晶玉は、ずいぶんと扱いが難しいことは解りましたが、行動の指針としては使える情報だとわかっただけでも収穫がありました。
次の不況でも、しっかりと参考にする銃砲として残しておきたいと思います。