ドラマ「米中貿易戦争 2019夏」を見逃した方におくるダイジェスト。

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8月1日から何の予告もなしに「米中貿易戦争」というドラマが始まりました。

朝の連続テレビ小説ばりに、毎朝ストーリーが進展しており、しかもスリリングな展開から世界中の視聴者を釘付けにしています。しかし、問題はその展開スピードがあまりにも早く、何話か見逃しただけで、展開についていけなくなり離脱している人も多いとききます。

そんな見逃してしまった人にも、明日からのトランプ劇場「米中貿易戦争」についていけるように、ダイジェスト版をお届けしようというのが、今回の取り組みです。

第1話:破られた停戦〜「約束が違うぞ」

物語の第1話は、いきなり貿易戦争の開戦から始まります。

6月末にトランプ大統領と習近平主席の2人の主人公が会談して、これ以上お互いに関税をかけない停戦の合意をしていたはずでした。「はずでした」という言葉が、既にもの悲しく響きます。

この時、2人が交わしていたはずの主な約束は「お互いに追加関税はかけないこと」「アメリカはファーウェイなどの中国企業との取引禁止措置を解除すること」「中国はアメリカ産農産物を買うこと」の3つです。

しかし、中国がいっこうにアメリカ産農産物を買う気配がないと苛立っていたトランプ大統領は「約束が違うぞ!それなら、こっちだって9月1日から追加関税をかけるからな」と相手を脅しました。

停戦の合意はものの1ヶ月で終わりを告げました。

この話の詳細記事はこちら:
予想外に短かった休戦。トランプ大統領9月から新たな追加関税を示唆。

第2話:カウンターは間髪入れずに〜「お前のせいだからな」

「農産物は購入しているはずだが。。」中国の習近平主席は戸惑います。

そして、困りはじめます。2018年までの貿易戦争はトランプ大統領に合わせて、同じ金額だけ中国も追加関税を発動してきたのですが、輸入の規模で上回るアメリカにたいしては、2019年の第3弾からは同程度の仕返しができなくなってきているからです。

単位:ドル 米国 中国
第1弾 340億(25%) 340億(25%)
第2弾 160億(25%) 160億(25%)
第3弾 2000億(25%) 600億(10-25%)
第4弾(9/1) 3000億(10%)

さて、どんな手で反撃に出れば良いのでしょうか。何かしら手を打たないと、アメリカとの交渉で不利になります。中国が思いついたのは、アメリカの追加関税のダメージを相殺してくれる元安の発動です。

ただし、あからさまな反撃では、アメリカの猛反発を喰らいます。なので、策士の中国は考えました。「そうだ!アメリカの追加関税の発動のせいで、投資家が中国から資金を引き上げる動きが加速して、元安になったことにしよう」と。

つまり、もしも今後アメリカから「元安にするなんでずるい」と避難されたら、こう言えばいいのです。

「お前のせいだからな!」

こうして、中国の通貨の人民元は11年ぶりの安値になりました。

この話の詳細はこちら:
人民元、11年ぶりの安値。米追加関税への意図的な報復との見方も。

第3話:元の下落は我慢ならん〜「それはナシだぜ」

さて、11年ぶりの1ドル=7元を超えるまで元安が進んで、アメリカのトランプ大統領は大激怒です。元が安くなったら、制裁のための追加関税の効果も薄くなり、またアメリカ産の農産物などの輸入品も中国では高値になって売れなくなってしまいます。

もともとトランプ大統領は、大統選のときから中国が元安で貿易を有利に進めてくるやり方に腹を立てていました。大統領選の公約では、「中国を為替操作国に指定して45%の関税を課す」と言いつつ、為替操作国にはまだ指定せずに何年もたっていました。

しかし、11年ぶりの元安になった時、トランプ大統領はこう思っていたでしょう「それはナシだぜ!」と。

トランプ政権はついに中国を為替操作国に指定します。

トランプ大統領、中国の為替操作を非難。貿易戦争激化の胸の内。

為替操作国の詳細はこちら:アメリカが中国に認定した為替操作国って何?

第4話:歩み寄りという言葉は辞書にない〜「ファーウェイの取引もなし、9月の協議は何の合意も見えてない」

実は、これほど対立する中でも、ほんの少しだけトランプ大統領は相手に歩み寄る発言も見せたことがありました。

為替操作国の指定を受けた中国が「さすがにやり過ぎたな」と元の基準値を1ドル7元よりも高めに設定しました。また、これを受けてトランプ大統領も「9月の貿易協議の扉は開いている」と、一瞬歩み寄りを見せたかに思える展開もありました。

歩み寄りを見せ始めた米中貿易戦争。中国の為替管理とトランプ大統領の会談希望の声。

しかし、これで終わる三文小説ではございません。未だ彼らの辞書に「歩み寄り」の言葉はありません。

先程も言いましたが、この週の最後に2日連続、中国は1ドル7元を上回る元安を基準値に設定しました。また、トランプ大統領も「ファーウェイとは取引しない。9月は何にも合意が見えてない」と発言して、この週を終えました。

未だバチバチな状態で、初週を終えました。

Trump says US government won’t do business with Huawei, not ready to make a trade deal with China (CNBC)

以上が、今週のダイジェストです。

予告なし、予定通りの展開なしの荒れたストーリー展開ですが、それでも米中ともに、本心では「経済の悪化を回避するために、貿易戦争の激化を避けたい」という点では一致しているはずです。

どのようにして着地点を見出すのか、それとも更に荒れた展開が待っているのか、次週以降も見逃せません。