今週、投資家たちは上昇するアメリカの長期金利にずっと注目していましたが、私は2021年になってからずっとインフレが気になっています。
すでに公表されている8月のインフレ率(消費者物価)のデータを見ていると、アメリカのインフレもようやく落ち着いてきたと感じられるものでしたが、まだこれから上昇する余地もあると思って私は警戒しています。
最短で10月か11月に発表されるデータで、再びインフレ率の上昇が見られるかもしれません。
もしも予想を大きく上回ってインフレが上昇した場合には、長期金利が上昇して今週のような株の下落がまた起こるかもしれないと思っています。
この記事のポイント
- 8月のアメリカのインフレ率はやや落ち着いたが、このデータには急上昇している家賃が反映されていない。
- 今後、反映されればインフレ率は再び上昇する恐れがある。
- 9月や10月で消費者物価が予想以上に上昇すれば、今週のように株価が下落するかもしれないと考えている。
8月にアメリカのインフレ率の上昇は和らいだが
まず、現時点のアメリカのインフレ率を確認しておきます。
8月までのアメリカの消費者物価(濃いピンク線)を下のグラフで確認すると、2021年に急上昇した勢いにようやく落ち着きが見られたように感じます。
しかし、詳細は以下の記事にも書きましたが、8月のデータにはまだ家賃の上昇は反映されていませんでした。
インフレ圧力がさらに和らいだように見えるアメリカの消費者物価
8月のアメリカの消費者物価(インフレ率)の発表がありました。最近このブログでは「短期的には物価は下がりやすくなっているので、インフレに強い資産はまだ持たなくていいはず」と言ってきましたが、予想通りで一安心しました。
急上昇する住宅価格と家賃
気をつけたいのは、アメリカの住宅価格です。
2021年から家の価格が急上昇しているので、やがて家賃が上昇することはほぼ間違いないです。
そして、ブルームバーグによると既に家賃の上昇が始まっていると言います。
>>米国で家賃上昇が加速-1年半で2桁の伸びは「衝撃的」との見方(ブルームバーグ)
9月に発表された(8月分の)消費者物価指数の内訳を見ると、家賃・住居(Shelter)の上昇は前年比2.8%しか伸びていなかったので、これから数ヶ月に発表されるデータでインフレ率が上昇していてもおかしくありません。
2021年の消費者物価の上昇率は夏に少し緩やかになったのですが、ラクダのコブのように2つの目の山を描きに行く展開もあるかもしれません。
株式投資家への影響
投資家は今のところインフレ率にはそれほど警戒をしていません。
消費者物価は2021年になってから既に十分上昇しているのですが、パウエル議長のいうように「インフレ率は一時的なもの」と考えているようです。
予想外にインフレ率が上昇した場合にまず起りそうなのは、インフレに弱い国債が売られて長期金利が上がることです。
今週は(インフレとは関係ないですが)ちょうど長期金利の急上昇の悪影響でハイテク株が売られていますが、それと同じような金利上昇と株価下落が年内の消費者物価データの発表時に起こる可能性はあります。(株の下落はあっても10%程度を想定しています。)
昨日の記事で、長期金利の急上昇で株が下落しても一時的なもので終わると言う話をしましたが、現時点でS&P500は最高値から4%ほどしか下落していないので、追加購入をしてもまだそれほど投資の旨味はありません。
そうこうしている間に株価が元に戻って買い時を逃してしまった場合には、年内に見られるかもしれない次の一時的な下落を待っても良いかもしれないなと思っています。