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今回のアメリカの景気サイクルでは雇用が最後まで強い

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今回のアメリカの景気サイクルでは、リセッション(景気後退)の兆候が早くから見られていました。

それでも、アメリカはまだしばらく(4-5ヶ月くらいは)リセッションには入らないと私は思っています。少し前までは2023年半ばにはリセッションになると思っていましたが、年後半にずれ込む可能性が高そうです。

リセッションまでに時間がかかる最大の要因は「まだ強い雇用」です。

雇用が強いままではインフレを抑えるための利上げは終わらないと考えている投資家もいるのか、最近ではじわりと6月の利上げ確率も上昇しています。

この記事のポイント

  • 大きく上昇に転じているように見えた前回の新規失業保険の申請件数は不正申請が主な原因だった。
  • アメリカではまだ雇用が強いという見方が増えた。市場ではインフレ高止まりを警戒して、6月の利上げ予想がじわりと上昇している。

既にリセッションの兆候は見られるアメリカ

アメリカのリセッションの兆候は既にいくつも見られています。

一番早くに現れた兆候は、昨年2022年4月に逆イールド現象と呼ばれるものでした。

>>アメリカで不況の前兆「逆イールド」が発生(22年4月)

また、2022年後半からはアメリカ製造業の景況感は「景気悪化」の水準にまで低下して、最近では小売売上高のデータでもリセッションの兆候が出始めています。

>>アメリカ小売売上高にリセッションが近づいているシグナル(23年5月17日)

しかし、それでもまだアメリカはリセッションまでに時間がかかると思うのは雇用がまだ強いためです。

昨日、5月13日週の新規失業保険申請件数が発表されましたが、まだ雇用は強いのかなと感じる内容でした。

失業者は増加傾向だが

5月13日週の新規失業保険申請件数の結果ですが、予想を下回り、前の週よりも低調でした。

  • 予想:25.3万件
  • 結果:24.2万件(前回26.4万件)

失業保険の申請件数が少ないことは、アメリカの景気がまだ強いという意味では良いことです。

しかし、早くリセッションとともにインフレが過ぎ去って、安全に株を投資したいと考えている投資家にとっては、今回の少ない失業者の数はやや失望させられる内容になりました。

気がかりなのは、前回で急増した失業保険申請件数の主な要因は「不正申請」だったと発表があったことです。それなら、失業者は数字ほど増加していないことになります。

>>米新規失業保険申請件数、21年以来の大幅減-前週は不正で増加

インフレを抑えるためなら、多少の失業者の増加はむしろ歓迎されることなのですが、残念ながらまだアメリカの雇用は強いことが示されてしまいました。

6月の利上げ確率もジワリを上昇

まだ雇用が強いなら、次に気がかりなのは「さらに利上げが必要かどうか」です。

今のところ6月は利上げがないという予想が大半なのですが、0.25%利上げされるという予想は日に日に高まって36%にまで上昇しています。

もうすっかり利上げは終わったと思っていたのですが、少し雲行きが怪しくなってきています。

製造業や消費の強さを見てるとそろそろリセッションに入ってもおかしくない時期に来ているのに、利上げ停止すら確実と言えないのは、やはり雇用の強さゆえなのだと思います。

今回の景気サイクルでは最後まで雇用のデータに振り回されそうです。


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