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10月後半から年末は株高の傾向も、不安材料は山積

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9月から続いた米国株の下落は、この1週間で少し持ち直したようにも見えます。

そして、よく言われることですが、季節的にはこれから年末まで米国株は上昇をし易い時期に入ります。

これから何か悪い材料がでなければ、基本的には株価は上がっていくはずです。ただ、問題も山積しているので、今のアメリカでは何に気をつけるのかを書いておきます。

この記事のポイント

  • 10月後半から年末にかけて米国株は上昇しやすい時期に入る。基本的には上目線かもしれない。
  • ただし、悪材料がないわけではない。中小規模の銀行は決算で悪い数字を報告する恐れはあり、原油の行方によってはインフレ、雇用の行方によっては消費悪化が進んで、株価が冴えない年末を迎える恐れはなくはない。

S&P500は10月後半から年末にかけて上がりやすい

10月も半ばになりました。例年通りなら、季節的にはそろそろアメリカ株が浮上しやすい時期にさしかかっています。


出典:equityclock

上のグラフは、2002年から2022年までの20年間の米国株S&P500指数の平均リターンをまとめたものです。

これを見ると9月から10月半ばまでは株価が低迷しやすいのですが、10月後半にもなると年末まで株価は上昇する傾向があることがわかります。

よって、もしも特に大きな悪い材料がなければ、これから年末まで米国株は上向きに動くということになります。

これから考えられる悪材料

では、そんな中でもしも大きな悪材料があるとすれば何か、これから何を気をつけれいれば良いかを考えていきます。

金融業界の決算

昨日のブログでも書きましたが、銀行の破綻は3月で収まったとは思っていません。銀行の破綻や合併で市場が荒れる可能性はまだ十分残っていると思っています。

そのきっかけになりやすいのは決算発表です。今回の決算シーズンは先週から始まった少しずつ始まっています。

既に決算発表した最大手のJPモルガン・チェースなどの最大手の企業では堅調な業績が続いていますが、これからはもう少し不安材料のある企業の決算が始まります。

たとえば、月曜に決算発表が予定されているチャールズ・シュワブは、今年の3月に顧客の資金の流出が進んだことで株が売られた企業でもあります。

シリコンバレーバンクの破綻で騒がれた3月半ば当時のチャールズ・シュワブの株価が51ドル。そして、今の株価も51ドルであることを考えると、チャールズ・シュワブにとってはまだこの問題はくすぶっていると投資家は見ているようです。

また、10月18日に決算発表が予定されているステート・ストリートも、3月から株価が冴えない企業です。

こちらは3月当時よりも、今のほうが株価が安くなっていて見通しはあまり良くなさそうに見えます。

原油価格の上昇とインフレ

また、10月から12月にかけての不安材料となりえるのは原油価格の上昇とインフレです。

イスラエルが戦闘状態に入ってから、原油の価格は上下に値動きの荒い展開になっています。

50年前の第4次中東戦争でアラブ諸国が石油禁輸に動いてオイルショックが起こったように、戦況によっては原油価格が大きく上昇する恐れもなくはないです。

原油価格をきっかけにインフレ率が上がってしまうと再び政策金利は上昇しかねず、その金融引き締めが株を下げる要因にもなりかねないので、イスラエルの戦争開始から原油価格は気になっています。

景気の悪化

最後に、10-12月に訪れる可能性は低いと思われますが、念のため気になっているのはアメリカの景気悪化(消費低迷)の心配です。

まだ消費者のふところはいくらか温かいし(詳細記事)、一見すると雇用の弱さもまだ表面化していないので、アメリカの景気拡大は続くように見えます。

しかし、最近ではよく見るとフルタイム労働者は減ってパートタイム労働者が増えていたり(詳細)、リセッション前にはっきりと雇用が弱まるトラック輸送の業界では、従業員数が減る動きがすでに始まっています。

なので、アメリカの景気後退はいずれ来るという認識が広まれば、実体経済はまだ景気が悪化していなくても株価が下がり始める恐れはあります。

ここで書いたことをまとめます。

例年通りなら10月後半から年末にかけて米国株はこれから上昇しやすい時期に入ってきました。

しかし、銀行決算で経営に難がある企業が明るみになったり、原油高でインフレ懸念が生じたり、景気後退の足音が近づいた場合には米国株は伸び悩む恐れがあるかもしれません。年内に起こる可能性はどれも高いわけではありせんが、発生してしまうと厄介な問題は山積です。


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