現時点のアメリカ経済は、景気後退に陥る傾向はほとんど見られません。
ですが、それでも2023年にはアメリカは景気後退になると私は思っています。
それを裏付けるデータはいくつもあるのですが、その主なものの1つはニューヨーク連銀の景気後退確率です。
最近になって2023年12月までの景気後退確率が公開されたので、その数字を確認しておきます。
この記事のポイント
- ニューヨーク連銀のモデルでは、2023年12月までの景気後退確率が57%となっている。これは数十年来の高い水準。
- しかし、すぐに景気後退に陥る可能性は低い。1-3月もアメリカは堅調な個人消費を背景に景気拡大を続ける見通し。
- 個人消費が陰りを見せるとしたら、失業率の悪化かクレジットカードの借り入れができなくなること。この2つは今後も追いかける必要がある数字。
高い確率で起こる2023年のアメリカ景気後退
ニューヨーク連銀は約1年先にアメリカがどれくらいの確率で景気後退に陥るか、算出をして公開しています。
この記事を書いている時点では、2023年12月までの景気後退確率が公開されているので、その値を確認しておきます。
上のグラフを見るとわかるように、2023年は後半から景気後退確率が急上昇し、その値は12月に57%に達するまでになっています。
「50%を超える程度か」と思っていると、少し危機感が薄れてしまうかもしれません。
しかし、過去にこのモデルで50%を超える景気後退確率の予想が出された場合、全ての場合でその月になる前に既に景気後退に陥っています。
2022年後半からこのブログでは、景気後退のシグナルが点灯していると警戒してきましたが、どんなに遅くなっても2023年末には景気後退に陥っているだろうと考えています。
1-3月期の景気後退は恐らくない
これだけいうと、すぐに景気後退に備えなくてはいけないと思ってしまうかもしれません。
しかし、現時点ではアメリカの景気は悪くありません。
先日アトランタ連銀が公開した、1-3月のアメリカ実質成長率予想(GDPNow)を見ると前月比年率2.2%です。
この数字は今後、関連する経済指標が発表される度に修正されるのでまだ精度は低いはずですが、このまま+2.2%で経済が成長すればかなり順調に景気拡大を続けることになります。
あくまでもこの数字を信じるならという仮定ですが、恐らくアメリカの景気後退は1-3月はなさそうです。
鍵は個人消費
1-3月期は恐らく景気後退はないとして、景気後退が近づいてくる様子は何を見れば気がつけるでしょうか。
先程のアトランタ連銀(GDPNow)の予想の内訳を見てみると、実質GDP成長率2.2%予想のうち、2.0%は個人消費が占めています。
つまり、個人消費が好調を維持できるかが鍵になりそうです。
そして個人消費の好調を支えているのは(1)雇用(失業率は歴史的な低水準)と(2)クレジットカード(延滞率はまだ極めて低い)です。
クレジットカードの貸し倒れ率は上昇も、まだ過去の景気後退ほどではない
このどちらかに傷がつきはじめると消費は鈍るので、失業率とクレジットについては今後注意深く見ていきたいと思います。