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インスタグラムは、なぜアマゾンの脅威になるのか。

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インスタグラムの画像がショッピングサイト化する

この数年でインスタグラムの存在感は大きくなりました。20-30代女性だけじゃなく、男性も企業もインスタグラムを使うようになり、SNSとしての影響力はトップクラスです。

そのインスタグラムが、画像の中に商品名と価格などの情報を埋め込むことができるショッピング広告をつかって、今後ますます影響力を増す可能性があります。

インスタグラムのショッピング広告は、まだまだ馴染みがない人もいると思いますが、インスタグラムの写真の中で、商品や価格を表示して、インスタグラムのアプリ内で商品が購入できるサイトに遷移する新しいタイプの広告です。

また、最近流行りのストーリーを使って商品購入サイトに移る機能も新規に付け加えるなど、今インスタグラムはショッピング広告に力を入れています。

インスタグラムで新商品の情報をキャッチして、アプリ内で購入までできれば、アマゾンのショッピングサイトを経由する必要が全くなくなります。近い将来に、インスタグラムはアマゾンを脅かす存在になると、私は考えています。

Googleも参入。拡大するショッピング広告

このショッピング広告はGoogleも実用化に向けてテストをするなど、拡大する動きを見せています。

2019年3月5日、Googleは画像に含まれる商品の価格と商品名を表示する新しいタイプの広告のテストを開始したことを発表しました。画像検索の結果ページに、この新しいショッピング画像広告を掲載するとのことで、一部のユーザ向けに既にテストを開始しているそうです。

Connecting you to visual shoppers with new ad formats on Google Images

Googleは先行するインスタグラムを追いかける形で、ショッピング広告を始めていますが、私の考えでは、ショッピング広告で有利なのはグーグルよりもインスタグラムだと思います。

ユーザが新商品や新ブランドを知るきっかけになる一番の場所はGoogle検索だった、というある調査の結果をグーグル自身も引用しているようにグーグルは確かに大きな影響力を持っていますが、多くのインフルエンサーと繋がって、自分が憧れる人から「これ、おすすめ!」という情報が配信されるインスタグラムのほうが、影響力が大きいと思っているからです。

ピンタレストは広告だけでなく、ショッピング機能も提供

フェイスブックやGoogleも提供を始めたショッピング画像広告ですが、2019年に上場を予定している、SNSのPinterest(ピンタレスト)も、画像のシェアや保存だけでなく、2015年から既にピンタレスト内でショッピングができる機能を提供しており、最近になって再度注目を集めています。

この記事のはじめに、SNSのショッピング広告がアマゾンの驚異になると話をしました。次のピンタレスト公式アカウントのYoutubeをみると、欲しいと思う品物に出会えてから買うまで全てピンタレスト内で完結していて、アマゾンが入る隙がないことがわかります。

動画開始50秒前後から、ピンタレスト上で商品を探す様子、そして「Buy it」ボタンで購入するシーンが映し出されています。

SNSがショッピング体験を変える可能性を秘めている

ピンタレストのショッピング機能のポイントは、「いいな」と思った商品があれば、その場で買えることです。

今までは、SNS上でいいなと思った商品があれば、「Google検索やアマゾンのサイト内で商品購入画面を開いて、商品を購入する」というの流れが王道でした。でも、SNSがショッピング機能を持つようになると、この動きは全く変わります。ユーザがアマゾンのサイトを経由せずにショッピングが完了してしまうため、SNS上のショッピングサイト化はアマゾンにとって大きな脅威になります。

ちなみに、このSNSのショッピングサイト化は、Googleにとっても脅威になります。今までなら、SNSで知った情報をGoogle検索して、商品購入ページを探していましたが、そのGoogle検索すら省かれるからです。これはGoogleにとっては、検索結果と一緒に表示する広告で得られる広告収入が減ることを意味します。

だからこそ、Googleはインスタグラムに1年遅れてでも、ショッピング広告に手を出して、インスタグラムの動きに歯止めをかけようとしているように見えます。同様に考えると、私の予想ではアマゾンも近いうちにアマゾンサイト内でショッピング広告を出すようになると思っています。

「あれ、でもインスタグラムでショッピング広告なんて見たことないけど・・・」

ここまで、インスタグラムの将来は有望だというお話をしていきましたが、実はまだまだインスタグラムのショッピング広告には課題が残っています。

一番大きな課題は、「インスタグラムでショッピング広告なんて見たこと無い」という人が多数いることです。それもそのはずです。一番良く目に触れるはずの、ユーザが投稿した写真を見る画面で、写真に映る服や靴をタップしても商品名、価格も表示されなければ、購入画面も開かないからです。

実は、ショッピング広告はインスタグラムの中でも、まだまだ認知度が低い「ショッピング」というカテゴリでしか、見ることができないのです。

ショッピング広告が乗り越えるべき技術的な壁

ショッピング広告の見方でわかったように、「一般のユーザが投稿する写真から、商品を購入できない」問題はインスタグラムがこれから解かなければならない課題です。

そのために、一般ユーザがアップロードする写真の中に、どんな商品が含まれているか自動で認識しないといけません。ここに技術的な壁が存在します。

実は、この技術的な壁は完璧な精度でなくても良いのなら、既に実現は可能です。問題は精度です。

iPhoneやAndroidを使っていると写真の中から、自分や家族の顔を判別する機能がありますが、それと同じ技術を使うことで写真にどんな商品が含まれているか判定できるのです。ただし、iPhoneもAndroidも間違えるように、精度は完璧ではありません。また、写真で判定させる商品が膨大な量になると間違える確率が相当上がってしまいます。

この画像判定技術は「画像認識」と呼ばれる人工知能の一分野を駆使する必要があり、インスタグラムの親会社フェイスブックよりも、グーグルのほうが強い分野ではあります。(ここもインスタグラムが、乗り越える壁の一つです。)

多少画像判定が間違っていても、ユーザがストレスなく使ってくれるレベルの判定精度が出せるかが勝負の分かれ道です。

インスタグラムに広がる可能性

一番良く目に触れるユーザ投稿写真から商品情報や購入画面に移れない限り、まだまだインスタグラムがアマゾンを脅かす存在にはなりません。超えるべき壁は確かに存在しています。

しかし、インスタグラムは強力なインフルエンサーを抱え、世界的なユーザ数も多く、SNSをショッピング化するには一番有利なポジションにいます。Googleは「オンラインショッピングの50%が、商品の画像が購入の動機となっている」というデータを発表している通り、画像がショッピング意欲をかき立てる力はとても大きいです。インスタグラムは大きな可能性を手にしていることは間違いありません。


参考記事:

アマゾンEchoはGoogleの広告ビジネスを壊すか。

今アメリカで配達ロボットが熱い。アマゾンを追いかけるフェデックス陣営

グーグルの自動運転Waymoが大きくリード。自動運転開発競争に終止符か。


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